3Dマイホームデザイナーによる携帯電話基地局設計検討


3Dマイホームデザイナーというソフトウェアがあります。 これは一戸建て住宅の間取り設計からプレゼンテーションまで行うことを目的にしたソフトウェアです。 大きな機能としては、設計した間取り、住宅を3Dで表示できるという点です。

どのソフトウェアを使用するに関わらず、3Dというものは、平面上の図面とはちがった説得力があるようです。

前途したように一般住宅設計用途である3Dマイホームデザイナーですが、通信基地局の設計等に利用できないか考えてみました。 アンテナ設置のイメージ等は、図面だけではわかりづらいものです。立体的に配置を検討し、そのまま図面として使用できれば今までとはちがった説得力のあるものができるのではないでしょうか。

(本来であれば、3DのCADソフトを使用することが最善の方法かと思います。 なお、3DマイホームデザイナーPROにはプレミアム版もありますが、今回使用したものは標準のPRO版です。)

1. 検討

3DMPROの標準レイトレースレンダリングによるパース結果のサンプルです。

3Dマイホームデザイナーレンダリング結果 3Dマイホームデザイナーレンダリング結果

アンテナの電波方向をトレースしたサンプル

3Dマイホームデザイナー電波 3Dマイホームデザイナー電波

作成の際には、各部材をパーツとして配置します。その配置されたパーツのリストを出力したものです。

3Dマイホームデザイナーパーツリスト出力

ウォークスルー動画です。 クリックするとファイル(3dm_mov_0001_s.lzh、LZH圧縮ファイル)を開くかきいてきます。 WMV形式の動画になっています。解凍してごらんください。

3Dマイホームデザイナー動画

作成したパーツのサンプル。

3Dマイホームデザイナーパーツ 3Dマイホームデザイナーパーツ 3Dマイホームデザイナーパーツ 3Dマイホームデザイナーパーツ

実際の作業への応用について

  1. 図面への応用: 一般的な3角法に対応した図面出力が難しいため、イメージ伝達・確認といった補助的な利用が主になると思います。

    1) 通常図面の補助資料(設置イメージを伝える)として利用できる。

    2) 通常図面作成の前段として利用できる(視覚的に設置イメージを関係者と決定してから詳細設計に入る)。

    3) PC本体を持ち出すことができれば、テクスチャや色等、その場で変更イメージを伝えることができる。

  2. 作成効率: 詳細なイメージを求められた場合は相応の時間がかかるが、条件を設定した上であれば非常に短期間で作成できる。

    1) 建物については間取りや周囲景観については考慮せず、建物の枠と外観の雰囲気だけを考慮する。下絵となるCADデータがあると早い。

    2) 設備については作図範囲を限定する。 例えば、「ケーブルは配置しない」「継ぎ手や接続管などの付属部品は配置しない」等。 ただし、集計作業にも反映させたい場合は必要になる。

3Dマイホームデザイナーパーツ

2. 3DMPROを使用する際に考慮される事項

本ソフトは一般住宅向けです。 一戸建てであれば、1、2時間もあればある程度の体裁までデータを作成できます。 それ以外で使用するにはいくつか考慮すべき点があります。

以下については、個人的に使っていて気がついた点です。 ソフトの使用について理解していない点もあると思います。

  1. 階高による作成手順の違い

    通常は、敷地や間取り設計、建具配置等を【間取り作成】画面で行い、その完了後に立体化し【3D画面】でイメージを形成します。 この【間取り作成】では地下〜5階までしか対応していません。 そのため、最初から3D画面で作成することになります。 しかし、壁や窓の配置といった作業は【間取り作成】画面で行う方が効率が良いと思われ、下記のように作業を行いました。

    1) 新規ファイルにて1階の間取りを作成しファイルAとして保存→立体化(3D画面)後、ファイルメニューの「この階層を保存」を利用して、1階階層のファイルを作成します。

    2) ファイルAの2階間取り画面に2階の間取りを作成し、ファイルBとして保存→立体化(3D画面)後、同様にファイルメニューの「この階層を保存」を利用して、2階階層のファイルを作成します。

    3) ファイルBの2階間取り画面に今度は3階の間取りを作成し、ファイルCとして保存→立体化(3D画面)後、「この階層を保存」で、3階階層のファイルを作成します。

    4) 以下同様に必要な階数分の間取りを作成します。 ファイルがたくさんできます。

    5) 1)で作成した1階階層ファイルを開きます。 ファイルメニューの「パーツを読み込む→M3Dパーツを読み込む」で2階階層のファイルを読み込み、パーツのプロパティから高さ位置を変更します。

    上の5)以降の作業はすべて【3D画面】で行われます。 以後、各階の変更を行いたい場合は【3D画面】上で変更するか、それぞれの間取り作成で使用したファイルA、B、C〜を使用して修正し、再度読み込むといった手順が必要になります。 ただし、一度【3D画面】で行った修正(テクスチャ等)は【間取り作成】に戻った際に反映されないこともあるので、注意が必要です。 もともと【3D画面】で作成を開始したもの(上の5)がそれに該当します)は【間取り作成】移れません

  2. パーツの出力について

    「面積・パーツ出力」という便利な機能があります。 これは壁や開口部の面積、パーツ本体の面積等を出力する機能です。 ただしこれは、【間取り作成】画面にしか対応していないようです。 上の-1のように、最初から【3D画面】で作成したデータは対象となりません

    【3D画面】の場合、ファイルメニュー内の「パーツリスト出力」を使用します。 これは、パーツのプロパティまたはパーツ階層図にある「パーツ属性設定」内データの一部しか出力できません。 従い、「パーツリスト出力」を積算用に用いる場合、特に配管等長さがある積算については、属性データの記入内容等に工夫が必要です。

    3Dマイホームデザイナーパーツプロパティ

    3Dマイホームデザイナーパーツ属性設定

  3. DXFファイル出力について

    3DMPROの標準機能でDXFファイル出力があります。 標準機能では【間取り作成】画面でのみ利用可能です。 出力できるのは【間取り作成】に書かれた平面図のみです。

    【3D画面】からの3D DXF出力は標準機能ではなく、オプションの購入により可能となっているようです(残念)。 また、オプションの3D DXF機能は3Dに対応した出力機能であり、平面や立面図等の2D出力ができるわけではなさそうです。

    下のスナップショットは、メガソフト様のWebページにあるサンプル3D DXFデータを六角大王Super®で開いたものです。

    3Dマイホームデザイナー3DDXF出力

    下の2枚は、DWG TrueViewで開いてみたサンプル3D DXFデータです(コンセプトと3Dワイヤーモード)。

    3Dマイホームデザイナー3DDXF出力

    3Dマイホームデザイナー3DDXF出力

    以下は【間取り作成】画面上で自作パーツを配置し、標準のCAD出力を利用してDXFとして変換した例です。

    <【間取り作成】間取り作成画面>

    3Dマイホームデザイナー2DDXF出力

    <【間取り作成】からCAD出力を行い、CADソフトで開いたもの>

    パーツは「パーツのプロパティ→シンボル設定」で設定された表示で出力されています。

    3Dマイホームデザイナー2DDXF出力

    【間取り作成】から【3D画面】に移った例です。

    3Dマイホームデザイナー2DDXF出力

  4. 3D上の文字記入について

    【3D画面】では「3D立体文字作成」という機能があります。 文字もパーツであるので3D画面を動かした際に他の図形と同様に動き、方向によっては読めなくなったりします。

  5. 下絵にするDXFファイルについて

    【間取り作成】では下絵としてDXFファイルを挿入することができます。 あまり大きなサイズのDXFファイルを挿入すると、3DMPROでファイル保存を行う場合に時間がかかるようです。 挿入するDXFファイルは、あらかじめ不要な情報を削除して小さくするか、不要な場合は「下絵削除」を実行した方が良いのでは。

  6. レンダリング、ムービー作成について

    ウィークスルームービー作成やレンダリング出力には時間がかかります。 PC性能にもよりますが、単純にプレゼンテーション目的の場合は、PCから見せる方が早い。

  7. パーツ作成について

    鉄架等のパーツによっては同一の部材でも壁、床、天井等あらゆる面に応用されるものがあります。 【3D画面】上で、X、Y、Z方向の角度を指定することで対処できますが、煩雑さを避けたければ、それぞれの方向に特化したパーツを作成した方が良い。

  8. 表示・非表示

    CADソフトのレイヤ設定イメージで表示・非表示ができると思っていましたが、表示については主に以下の操作があるようです。

    • 階層毎に表示する
    • 上の階層から順番に表示する
    • パーツプロパティで表示チェックを外し、表示メニューの「非表示階層の状態」で表示を方法を切り替える

    このため、パーツの階層が重要になると思います。

  9. パーツ階層図

    パーツ階層図は便利な機能で、この図上でパーツのコピー、貼り付け、配置情報の修正等が行えます。 また、ある階層を別な階層に移動するといったことも可能ですが、階層が多い場合、少し考える時間(?)が必要なようで、少しばかり待たされる場合があります。

    階層は【3D画面】上で簡単に切り替えられるように、上部にタブとして表示できます。 このタブの順番は、パーツ階層図の順番に従うようです。 1階から最上階までをきれいにタブに表示したい場合は、階層図で階層を移動させながら並べ替えるしかない(?)と思います。 これで、結構時間がかかりました。

    3Dマイホームデザイナー階層利用

3. 追記

  1. ケーブルをひいてみた

    ケーブルの積算はできるものかなあと考え、まずはケーブルを描いてみました。 立体モデルでは『掃引体』という図形を使って、引っ張ったり曲げたりしながら描きます。 描き方の順序によっては途中でねじれてしまったりします。 データ量のせいもあるのか、作図計算に時間がかかります。

    3Dマイホームデザイナーケーブル

    3Dマイホームデザイナーケーブル

    3Dマイホームデザイナーケーブル

    作図したケーブル、『掃引体』図形のプロパティを見ると、最初に作図したときの幅、奥行き、高さの記載のみです。

    3Dマイホームデザイナーケーブル

    図形をひとくくりにしてパーツとし、そのプロパティを見るとその作図範囲となる幅、奥行き、高さが表示されます。

    3Dマイホームデザイナーケーブル

    しかし、その寸法の中で曲がったり、戻ったりしながら配線させているので、そのままケーブル長として参照するわけにはいきません。 これでは本数だけしかカウントできません。

    以上、ちょっと考えなければならないという結果になりました。

    (更新:2009年4月21日)

  2. TVアンテナ、避雷針を置いてみた

    避雷針とTVアンテナを置いてみました。 BSアンテナは壁面、TVアンテナは屋上基礎としました。

    3Dマイホームデザイナーアンテナ

    3Dマイホームデザイナーアンテナ

    基礎を3DMPROでモデリングする場合、あごの部分四方の勾配部分は押し出し、四角は屋根の図形を使用すると手早く作成できる(屋根の三方は隠す)。 角柱で書く方法もあるが、図形の幅、奥行きが対角線寸法となることや、回転が必要なので作成しずらいと思う。

    3Dマイホームデザイナーアンテナ

    (更新:2009年4月27日)


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2009年4月
更新 2014年9月